Additional scenario『Unbroken Chain』感想③ アンダードッグ編ゆるっとまとめ〈中〉

 アンダードッグ編ゆるっとまとめ〈中〉


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2020 HAPPY NEW YEAR!?(201912月~20201)

 

193y年1230日-1231

 

ジャンさんたちは、1224日のバクシーのお誕生日をお祝いしに、ロックウェルに出向く準備をしていたものの、前日にドタキャンされていたようす。

カトリックとしてハチャメチャに忙しいであろうクリスマスに、なんとかしてロックウェルに出向こうとしていたあたり、

CR:5としても、GDとの講和に真剣に臨もうとしていたことがうかがえます。

でも結局、向こうの都合でお流れになってしまいました。

それはそれとして切り替えて、ジャンさんたちはこれもまたハチャメチャに忙しい年末年始の準備にいそしみます。

 

そんな中、何者かにジャンさんが襲撃されます。

颯爽と現れてジャンさんを間一髪で救い出すバクシー。アメリカンヒーローですね。

バクシーは、マックスの運転する車で、イーサンを連れて極秘にデイバン入りするところだったのを、同じく何者かに襲撃されていたようす。

お誕生日をドタキャンせざるを得なかったのも、ロックウェルがシカゴマフィアに襲撃されていたためとわかります。これもアンダードッグの仕掛けでした。

襲撃者のあまりの本気度から、アンダードッグは本気でバクシーをも潰しにかかっているようです。

 

市街はどこも危険だということで、ジャンさんを連れて市街の外へと逃げて、雪原に潜伏するバクシー。終始、ジャンさんへのこまめな気遣いが感じられます。

 

ここ、悪卵の雪原での逃亡劇のセルフパロディでもあるし、おそらく、サン=テグジュペリの『星の王子さま』のオマージュでもあったんじゃないかなと思います。

このストーリーのガチャでゲットできるキャラクターが、「パイロットジャンさん」と「パイロットバクシー」だったからです。

 

『星の王子さま』は、パイロットである主人公が、飛行機の故障のために砂漠に不時着してひとり彷徨うなかで、別の小さな惑星からやってきた、金髪のかわいい「ちいさな王子」と出会う物語ですが、砂漠と雪原という違いはあれど、何もないところで孤独な2人が一緒に彷徨うというところがそっくりです。作者のサン=テグジュペリ自身もパイロットで、星の王子さまの物語には、彼自身の実体験が反映されています。

 

サン=テグジュペリ『星の王子さま』(河野真理子訳)新潮文庫『ちいさな王子』(野崎歓訳)光文社古典新訳文庫 など

 

かけがえのない友だちになる二人だけど、ちいさな王子は、自分の星に残してきた大切な花を守るため、ひとり帰ってしまいます。この世界のジャンさんは、バクシーにとっての“The Little Prince”なのかもしれません。

 

日付が変わって朝になれば、礼拝が始まり、襲撃がやむだろうと予測するバクシー。

敵がマンガーノのなかにいることにどうやら気づいているようです。

ガチのカトリックであるマンガーノは、必ずそっちに手を取られますからね。

“あの野郎”と言っているところから、敵が誰なのかも特定しているようす。なぜかはわかりません。

 

二人でなんとか生きのびて無事に31日の朝を迎えて、その日の夜に、お誕生日のお祝いのやりなおしができることになります。今年のカウントダウンもまた一緒、というやりとりがあるので、前年のマンハッタンでのカウントダウンの翌年だと思われます。

 

さすがにジャンさんと二人きりは…ということで、めちゃくちゃ警戒されて、監獄みたいなところに閉じ込められるバクシー。でも全然気にしていなそう。ジャンさんは手作りケーキだけでなく、わざわざオーダーメイドのセーターを用意してくれていました。かなり前もって準備していたんですね。生まれて初めてお誕生日をお祝いしてもらって、とってもハッピーなバクシー。お誕生日とカウントダウンイベントが一度にやってきました。よかったね。

 

同時に、バクシーの働きでなんとか無事に窮地を切り抜けていたイーサンと、アレッサンドロの会談もどこかでおこなわれているようす。「聞かれたら殺さなければならない」ほどの内容だそうで、この2人の過去も引き続き気になります。

 

これでいよいよCR:5とGDの手打ちがおこなわれ、長く続いた因縁の争いに終止符がうたれます。

アンダードッグとの戦いの準備が整いつつあります。

 

後日、バクシーからジャンさんへのお礼のお手紙あり。もうかなり仲良しです。

 

 

 

UNLUCKY LUNCHEON!?(20226)

 

193z年5

 

ラキド発売13周年を記念して公開されたストーリー。

13といえば、キリスト教では“悪魔の数字”。ここをきっちりお祝いするのが、なんともラキドらしいです。

 

CR:5本部では、部下も含めて、12人で楽しいランチ会…のはずが、なんと不吉な13人目、バクシーが紛れ込みます。猫のふりをするというのがとってもおちゃめで可愛いです。

 

この会合が行われている場所の背景イラストには、レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』の絵が掲げられています。

イエス・キリストが、十字架にかけられて処刑される前に、12人の弟子と一緒に最後の食事をする、新約聖書のエピソードを描いた有名な絵画ですね。

 

イエスはこのとき、「あなた方のうちの一人が私を裏切ろうとしている」と言ったとされています。ここに描かれている13人のうち、誰かが裏切り者だということです。その裏切り者がユダという使徒で、ユダの裏切りによってイエスは捕らえられ、十字架にかけられて殺されます。彼は悪魔にそそのかされてイエスを売ったのだ、ということで、13というのは不吉な数字だとされるようになったのです。

 

バクシーのモチーフはキリスト教の悪魔なので、ややキリスト教色も感じられるストーリーとなっています。

 

バクシーは、3日ほど前にデイバンに入ったところをまたしても何者かに襲撃され、なんとか逃げおおせてずっと潜伏していたようす。

何か重要なことをジャンさんに伝えに、わざわざ出向いてきていたようです。

その重要なことは、彼いわく「来月ではもうダメ」だということで、おそらく、この直後に起きる、アンダードッグによるジャンさんへの本格的な襲撃を見通していたのだと思われます。ジャンさんを破滅に追い込みたいという、敵の本当の目的まで掴んでいるようです。

 

ここで描かれるお酒とお料理の描写が、ほんとにおいしそうで、読んでいるだけで食欲がわいてきます。時期も五月で初夏なので、桃だったり、季節感を感じられるメニューが並びます。懐かしの「マラガの夕陽」の話題も出てきて、ちょっとにっこり。お酒飲みたくなってきた。

 

共食で手打ちだというバクシー。ジャンさんに食べてもらえてうれしそう。そしてラキドが18禁ゲームであるということをほんのり思い出す。

 

バクシーは、ジャンさんと自分たちを付け狙っている存在が、単なるマフィア以上のものだということを見抜いているようすです。もしかしたら、アメリカがヨーロッパの植民地だった頃から、あるいは、ピルグリムファーザーズがプリマスの石を踏むよりも前から、この国の地下に渦巻いている大きな因縁に、自分たちが巻き込まれているということ…などでしょうか。

 

バクシーはジャンさんに、イーサンと対立する意思があるかどうかを確認します。もう二度とCR:5とGDが殺し合うことはないだろうと確信したのか、ジャンさんに核心的なことを伝えることはせず、帰っていきます。自分がジャンさんを守ることを決意したのかもしれません。

 

会食の場では、イーサンと手打ちをしたことで、なんだか牙を抜かれたように、しおしおしているアレッサンドロ。アンダードッグという強大な敵が現れたことで、はからずも、CR:5とGDの和平に繋がりました。敵の敵は味方、ということもあるし、争っている場合じゃねえってことでもあるし、このあたりはアンダードッグさまさまなのかも。

 

アレッサンドロには、死んだはずの犬のラーヌが見えているみたい。ラーヌは今でもそばにいて、みんなのことを見守っているんですね。

ラーヌはかつて、アレッサンドロと愉快な仲間たち4人組+1匹として、いつも一緒にいました。4人+1匹で、CR:5だということだったのでしょう。

このあたりも、ラキド頻出、ジェローム・K・ジェロームの『ボートの三人男』のオマージュではないかと思います。じっと見てるとお湯はなかなか沸かないけど、目を離してるとすぐに…っていう、あれです。この小説のなかのエピソードとして出てきます。19世紀イギリスの小説で、3人の男と1匹の犬がテムズ川を船で旅する、ちょっぴりギャグテイストのお話。このお話では、犬はペットというよりも完全に人間と対等な仲間の一員。人間の言葉も理解しているし、ふるまいも人間味あふれています。CR:5はさしずめ「ボートの四人男」というところでしょうか。

 

ジェローム・K・ジェローム『ボートの三人男~もちろん犬も~』(小山太一訳)光文社古典新訳文庫

 

後日、バクシーからのお手紙あり。ごちそうさまとありがとうがきちんと言える、本来のマナーの良さを感じます。最後のほうは、これまでの甘い雰囲気とは違い、緊張感がある文面です。それにしても、あのおいしそうなイタリアンコースを再現できるの、ちょっとすごいですね。


感想に続きます。

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